自分に合ったブーツを選ぶことは、足の痛みのない快適なスキーを楽しむことはもちろん、自分の力や操作を的確にスキーに伝え、うまくなるためにも重要なポイントです。
石井スポーツの各店舗で、どんなふうにブーツ選びのアドバイスやブーツフィッティングが行なわれているのか。
ここでは神田本館を一例として、石井スポーツでのブーツ選び&フィッティングの流れを紹介していきます。
ブーツを探している人には、まずどんなスキーをするのか、例えば「脚をそろえて滑れる」など技術レベルをお聞きします。その後、素足になってもらい、スキーのスタンスで立った状態で足を実測。足の長さや幅を測定するとともに、膝の曲げ伸ばしなどスキーの動きをしてもらうなかで、扁平足の傾向があるなどの足の特徴と、脚を曲げるときに膝が内側に入るなど、脚の特徴を見ていきます。ここで把握した特徴が、インナーやシェルの熱成型加工のための情報にもなっています。
お客様のスキーの楽しみ方と希望、そして計測した足型の情報を元に、何足かマッチするブーツをご提案。それぞれのブーツを試し履きしていきます。実際にブーツを履くときには、カカトがブーツの中にきちんと収まるようにスタッフがサポート。そして、ロワシェルの形を崩さないように適度な強さでバックルを締め、フィッティングの状態をチェックします。また、立った状態で膝を入れたり、身体を傾けたりして、スキーの動きのなかで足に痛みが出る箇所がないかなども確認します。これらの動作のなかで、スタッフは履いているブーツのフレックスが合っているかをチェックします。また、ふくらはぎの位置が低い日本人の場合、ふくらはぎとアッパーシェルの間の隙間を確認しておくことも、快適なフィッティングを目指すためのポイントです。
何足かのブーツを試し履きしたあとは、ご購入いただくブーツを決めていただきます。このときスタッフは、試し履きのときにしてもらった膝入れなどの動きをとおして把握した情報を元に、どのブーツが合うのかを提案していきます。また、親指や小指の付け根部分、舟状骨付近などの痛みの出やすい箇所が気になる場合も、例えばシェルを熱成型加工できるブーツなら十分に対応できることなどを伝え、お客様の最終判断の材料にしていただきます。
ブーツが決まったらインナーブーツに入れるインソールの選択です。サイズに合わせてカットするだけのものから熱成型するものまで、インソールにもいくつかのタイプがありますが、お客様の好みやスキースタイルに合わせたものをご提案していきます。実際に決めるときは、床の上に置いたインソールに立ってもらい、膝入れなどの動作をしてもらいます。その動作をとおしてスタッフは、そのインソールがお客様の動きをしっかりと支えているかをジャッジしています。
シェルを熱成型加工できるブーツの場合、インソールを決めたあとに、その加工のための準備を行ないます。ここでもう一度素足になり、くるぶし、親指や小指部分など、シェルを膨らませたい場所にパッドを貼っていきます。このときスタッフは、お客様の足の特徴に合わせてパッドの形状を加工したり、貼るパッドの厚さを変える、パッドの位置を微調整するなどの工夫をしています。必要な箇所にパッドを貼り終えたら、ストッキングを履いて準備は完了。このストッキングはソックスを履くときにパッドの位置がずれるのを防ぐためのものです。
パッディングの間に専用オーブンで温めていたインナーブーツとシェルに足を入れ、シェルを成型していきます。まず、ソックスの上にビニール袋をかぶせて足の滑りを良くした状態でインナーブーツを履き、その後、ブーツを履いていきます。このときブーツのなかでカカトがしっかりと収まるようにするなどの注意点は、試し履きのときと同様です。足がきちんと入ったらバックルを締めていくのですが、このときの締め加減、そしてタングを正確な位置に収めること、さらに足やスネにシェルを巻きつけるようにバックルを締めていくことなど石井スポーツならではの配慮がされています。きちんとブーツを履けたら、スキーのポジションで立ちます。
ブーツを履いた状態で立ち、数分経ったらあらかじめ冷蔵庫で冷やしてあった冷却パッドでシェルを冷やしていきます。このときもスキーのポジションを保ちやすいようにスタッフがサポート。そして、数分経ったら熱成型は完了です。
熱成型が終わったら、足に貼っていたパッドを外し、足の感覚が普通に戻った段階で、もう一度ブーツを履きます。そして、熱成型前に痛みがあった箇所がきちんと膨らんでいるかなどを最終確認していきます。当たる箇所がなかったらカント調整へ。カントがきちんと合ったら一連の作業は終了です。