『仲川希良が聞いてみた!』

第3回

痒い所に手が届く「ザ・ノース・フェイス キッズ」のこだわり

モデルでフィールドナビゲーターの仲川希良(以下、仲川)が、気になるブランドの秘密にせまる企画 「仲川希良が聞いてみた!」。今回はザ・ノース・フェイス キッズの企画担当者「矢野 真知子」さん(以下、矢野)をお迎えし、痒い所に手が届く商品の数々のエピソードを聞いていった。

矢野さんのキッズの企画に携わるきっかけ

<仲川>矢野さんご自身の事とノースフェイスキッズの始まりについて教えていただけますか?

<矢野>小さい時から母の影響で山によく行っていました。小さい頃は嫌だったんですが、いつの間にか好きになっていて… テント泊と登山が好きで株式会社ゴールドウインに入社しました。
営業として 3 年経験を積んだ後、双子の妊娠・出産を経て、育休復帰してから半年後くらいにキッズの企画になりましたね。子供達を連れてよくアウトドアに出かけるので、自分が企画した商品を子供達に着せてテストもしています。 ノースフェイスでは昔からキッズの商品は展開していたのですが、ここ数年でさらにラインナップを拡充して子供たちに自然体験をしてもらうお手伝いをしています。

<仲川>マタニティラインも作られていますよね。妊娠中ってハードモードな 10 カ月だからこそ、そのシーンに合わせた機能性が重要だし、それでいて産後も着続けられるデザインが素敵です。そしてそこから始まる子どもとの日常もハード モード……、基本的に外にいる、常に汚れる 濡れるっていう毎日になりますよね。

<矢野>そんな親子に、汚れや濡れを気にせず思いっきり遊んでもらえるようにと願ってウェアを開発しています。マタニティウェアもそうですし、子供用のウェアにも高機能素材を使っています。例えば、レインウェアです。

キッズレインウエアのこだわり

<仲川>子供用のレインウェア、そもそもアウトドア用のしっかりしたものをよく見たことがないんですが。

<矢野>よく子供用品店に並んでいるのは、簡易的なはっ水素材のレインですよね。はっ水のみのレインウェアだと、雨の中で長時間着用していると水がしみて中の服が濡れてしまうんです。ノースフェイスでは、子供用のレインウェアも、大人同様、防水透湿素材を使っています。
裏側にはシームテープも貼っているので水が浸入せず、アウトドアのシーンで長時間耐えられる仕様になっています。 それこそ、ハードモードでも大丈夫ですね!

<仲川>実際の商品を見せていただけますか?

<矢野>こちらが今シーズン新しく登場したトレッキング向けのレインです。防水性を出すためにポリウレタンという素材を使うのですが、通常は 3 年ほどで加水分解してベタベタになり、防水性が失われてしまいます。この「ウーロス」は特殊なポリウレタンを使用することで加水分解しにくい素材になっています。

<仲川>具体的にどのくらい加水分解しにくいとかありますか?

<矢野>ジャングルテストのサンプルを持ってきました。 左半分が「ウーロス」の素材・右半分が通常のポリウレタンを使用したレインウェアの素材でできています。 ジャングルテストという試験で、高温多湿の実験機に製品を入れて 10 年相当の負荷をかけてみました。

<仲川>こんなに違うんですね!

<矢野>キッズの商品って、どうしてもサイズアウトしてしまうんですが、どうせならいい状態で引き継ぎたい。その後もいろんな子供に着てもらいたいという思いで作っています。

<仲川>サイズアウトの後でも、まだまだ使えるので、他の子に安心して譲ってあげられますね。 お値段はどのくらいですか?

<矢野>ウーロスジャケット が 16,500 円(税込) 青・ピンク・黒の 3 色展開、
ウーロスパンツ が 12,100 円(税込)で紺・黒の 2 色展開になっています。

<仲川>日常でも本格的な山歩きでも十分使えるんですものね。すでに高機能アウトドアアイテムの日常使いに慣れている身からすると、納得のお値段です。

キッズ用レインスーツにも機能的なディテール

<矢野>アウトドア、特に山では、ビニール製の雨合羽とかではなくて、しっかりした防水透湿素材のレインを着てもらいたいのでエントリー向けに上下セットのレインスーツもご用意しています。

<仲川>最初にお値段から聞いちゃいます!

<矢野>レインテックスユリイカ という商品で 9,900 円(税込)です!

<仲川>え~~~びっくり!本当ですか??上下のセットと、この収納袋もついているのですか?

<矢野>生産面でも工夫をして、撥水のレインウェアを着ている子供たちに何とか防水透湿のレインウェアを着てほしいという思いから、この価格に設定させていただいています。ジャケットにはポケットもありますし、パンツの裾には靴を履いたまま着脱できるファスナーや、裾幅を調整できるドットボタンもつけています。

<仲川>フードにフィット感を上げるゴムやツバもしっかりありますね。子供には防水性で視界も保たれる帽子とかも身につけてもらいたいんですが、すぐ外してしまったりするから、このウェアだけで完結というのはありがたいです。

<矢野>子供と外へ遊びに行くときって、荷物が多くなりがちだと思いますが、シンプルな分、コンパクトにもなります。

<仲川>あえて傘をささないで、雨を感じる楽しさっていうのも伝えたいですよね。私は大人になって山に登るようになってから気付きました。

機能性をデザインする

<矢野>他にも、通園・通学で使いやすい袖付きのポンチョツリーフロッグコート もありますよ。ドットボタンのかけ間違いを防ぐために上から 3 つ目のボタンが色違いになっています。 背中にマチがついていて、パックやランドセルの上からでも羽織れるので、学校に行くときにも使っていただけます。

<仲川>かわいい!息子はノースフェイスキッズのソフトシェル(コンパクトジャケット)を着ていますが、襟の立ち方や裾のライン、布の切り替え、細かいシルエットが抜かりなくて、写真撮るときに後ろ姿までかわいいと感じています。シルエット、こういったデザインには、何か意味があるんでしょうか?

<矢野>機能的に必要なものを製品に取り入れる、それがデザインになる、というのがノースフェイスの考え方です。例えばノースフェイスの代表的な肩切り替えのデザイン、肩が黒く切り替えられたデザインのジャケットをよく見ると思うので すが、もともとはパックのショルダーが干渉するため、肩部分を強度の高い生地に切り替えていたのが始まりです。子供用の商品は、安全性も考えていて、レインウェアのロゴは基本的には再帰反射になっていたり、パックのチェストベルトは一定の荷重がかかると外れるようにもなっていたりしますよ。

<仲川>デザインの中に子ども自身もお気に入りのポイントを見つけられると、楽しく着てくれたりしますよね。

<矢野>公園とかが一番よく行くところだと思いますが、幼い頃から機能的なものを身につけて安全に伸び伸びと、自然のなかでいろんなものを感じる原体験をしてもらう。大きくなってからもうちょっとコアなアウトドアを楽しんでもらえたらと思っています。

キッズ商品のリペアは無償

<仲川>それにしても子供って予想外の行動をするから、そこかーっていうところが汚れたり穴が開いたりしますよね。

<矢野>ノースフェイスでは、キッズの商品は無償リペアを実施しています!

<仲川>えっ??すごい、無償なんですか?

<矢野>子供たちにも保護者にも、破れたり壊れたりすることを心配せず思いっきりアウトドアを楽しんでほしい、という思いで無償にしています。お客様自身で手軽にウェブサイトからお申込みが可能で、リペアセンターの担当者と直接やり取りができます。すごくたくさん依頼をいただくので、時期によりますが 3 週間程度お時間頂戴している状況なんですけどね。ちなみに、リペアの縫製担当者は、どんなものがきても直せる一番の熟練者なんですよ。

<仲川>息子は捨てられる事に対する拒否感がすごく強くあるんです。子供なりに服への愛着があって、手放す時の恐怖や寂しさがあるみたい。修理して戻ってきたらとても喜ぶかも!

<矢野>世の中としても、段々いいものを長く使おうっていうマインドになってきていると感じています。 リペアセンターでの修理という方法のほかに、小さい穴などであれば、自分の手で直せるように、リペアパッチワッペンも販売しています。どちらも修理だけでなく、カスタマイズにも使えるので、好きなワッペンを貼ることで、より自分の持ち物に愛着を持ってもらえたらなと思っています。

<仲川>私は息子になんでも試して感じて欲しいと思っているので、本当に危険でない限り止めないようにしています。今は手放しやすいお値段や作りの服もあるとは思いますが、やっぱりしっかりとした機能性のある服に守ってもらえると安心です。自由な自然体験の相棒をたくさん見せていただき、ありがとうございました。

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