毎年春に石井スポーツが刊行する最新スキーギア厳選カタログ『Sieger』。スキーやブーツといったハードグッズから、ウエアやグローブなどのソフトグッズまで幅広いアイテムが掲載されていますが、「スキーニューモデル早期予約販売会カスタムフェア」に向けた参考書としてはプロスタッフによるスキーのテスティングレポートに注目してもらいたいところ。その大部分は『Sieger』に掲載されていますが、ここでは誌面に収めきれなかった25モデルのレポート結果を掲載します。23-24シーズンの相棒探しに役立ててください。

●ICONビンディング搭載のハイスペックモデル。通常の〈S9i PRO〉のスキーのプレートとビンディングを変えることでまったく別の乗り味に仕上げています。ターン後半の抜けと伸びが魅力的で、セパレートに設計されたICONビンディングが足元部分のたわみを最大限に引き出し、直進性の高い鋭角なターンを実現しています。扱える技術レベルはかなり高いと思いますが、スキーからレーシングターンを学ぶことができる貴重な一台。本気で技術改革を目指す人にぜひ履いてもらいたいモデルです。
(須川 尚樹)

●足元の重厚感、安定度は健在のまま、芯材の変更によってグリップ力が数段良くなり、シャープなターン弧を実現できます。ハードパックされているコンディションから悪雪まで操作性も良く、いろいろなシチュエーションで使用できます。特に急斜面・小回り系への対応幅が広がり、深いターン弧でカービング、コントロールする弧といったような滑り分けが可能。大会などに出場されるユーザーには最適な一台で、今まで以上に走りも具現できます!
(村松 篤)

●昨シーズンデビューのICONビンディング搭載モデル。セパレートのビンディングと専用のプレートが足元にパワーを集中させ、より深いたわみと敏感な反応を実現してくれます。スキーに圧をかけたり、雪面から外力がスキーに伝わったときに、瞬時に足元がたわみ、反応がとても速い。年々、急斜面や振り幅のきついセットなど、クイックな動作や操作が必要になってきているため、このレスポンスの良さは強力な武器になると思います!
(富井 剛志)

●Xビンディングを搭載したモデル。ICONビンディング搭載モデルと同じスキーでも、ビンディング、プレートの違いにより、また違ったフィーリングを感じます。特筆すべき点は、ビンディングの可動性が優れているので、スキーがきれいにたわみ、トップからテールまでをフルに使うことができることです。その結果、スキーの安定性が高く、振ったポールセッティングのなかでも高いラインをキープしやすくなっています。汎用性という点ではICON搭載モデルよりもこちらのセッティングをおすすめします。
(上野 健志)

●レボショックが搭載されて3シーズン目ですが、相変わらずセンターから前の安定感が高く、ターン前半、安心してスキーに乗っていくことができます。少しスキーが下を向いている時間が長く感じられるかもしれませんが、中盤以降はスキーがよくたわみ、コンパクトにターンが仕上がってきます。雪面がソフトなコンディションではターン前半にスキーが縦になりすぎてしまうこともあり、ていねいなバランスを求められますが、足場がしっかりした状況のなかでは安定感も高く、スピード感のあるターンができます。それなりにパワーを求められるスキーですが、速く滑ることのできる一台です。
(可児 徹)

●ワールドカップでの使用率が高く、国内のトップ選手も多く使用しているモデル。テスト機種のなかでも抜群にエッジグリップが良く、驚くほど走ることを体感できます。安定感、回転力も申し分なく、ハイスピードで積極的に滑れる選手には強い味方になってくれるはず。ICONビンディング搭載モデルは短いエッジングをする方に向いています。そのためスキーの走りに負けない身体能力も必要になってくるでしょう。
(宮下 透)

●滑走時の強いグリップ感は今回テストしたスキーのなかでも群を抜いています。そこに重量感もプラスされ、1ターン目から非常にスピードが上がっていくフィーリングを得られました。初めはやや難しいスキーかと思いましたが、ゲート通過時に瞬時にスキーの解放に導かれ、速くかつスムーズにターンをつなげていくことを可能にしています。スキーの上で自分から働きかけ、しっかりとスキーをトップ部から使ってターンを描いていくことで、このスキーの良さをさらに引き出せると思います。
(丸山 英明)

●さまざまなコンディションでオールラウンドなターンに対応できるモデル。イージードライブでターンを楽しめるスキーです。しなやかさが抜群で、スムーズな動きを幅広いスキーヤーに体感させてくれます。滑り手の仕掛けに素直に応えてくれ、癖がなく、とにかくスムーズです。ハイスピードでもゆとりのあるスキー操作ができ、抜けの良いターンを積極的に連続させてくれます。オンピステをメインに、オフピステやコブ斜面にも一台で対応でき、コンディションや乗り手、レベルを選ばない一台です。
(斉藤 人之)

●とにかくカッコ良く、いつも注目を集めるスキー。エッジグリップの高さ、回転力、走りなど、高次元のものを持ち合わせている一台です。なかでも、このICONビンディング装着モデルは足元のしっかり感が強調され、瞬間的なエッジングをよりしやすく感じました。スキーの走りの鋭さと、ターンからの抜けの良さは抜群なので、しっかりトレーニングもしてこのスキーを乗りこなしてください。
(宮下 透)

●Xビンディング装着モデルは足元のしなやかさを感じ、スキーがしなった結果サイドカーブがいき、きれいな回転弧を連続できる一台です。エッジグリップが良く、走りも抜群な速いスキーです。このモデルを使いこなせればスーパーな滑りが可能です。このビンディングは前後にスライドでき、推奨ポジションは4ですが、コントロール性を重要視される方は前方にセットしたほうがよいと思います。
(宮下 透)

●ブレードテクノロジーはスキーを均一にたわませて雪面抵抗を軽減させ、加速する推進力に変えるシステムですが、ICONビンディングとのセッティングで、より強力な反応の良さと加速が実現しています。スキーのテクノロジーだけでは少しまったりした感じになりそうですが、ICONビンディングと組み合わせることによって、より完成度の高いものになっています。ターンの質を上げ敏感な反応を必要とするレーサーに、ぜひ使用してほしい一台です。
(富井 剛志)

●ブレードシステムを持つスキーはしなやかな動きをしてくれますが、Xビンディングが足元を力強くし、操作性やコントロール性に優れながら力強いターンが可能。スキーに圧や外力が加わると前半からスキーのたわみが出せ、後半までしなやかさと推進力を持続させながらターンができるため、次のターンへの切りかえしもスムーズに行なうことができます。スキーを安定させ、コントロールや操作性を求めるレーサーに注目してほしい一台です。
(富井 剛志)

●昨季から搭載されているブレードシステムにより、スキーのたわみを簡単に感じられます。ターン前半、スキーが内側に切り込んでくる感じが強く、比較的簡単にターン導入できます。ただし、あまり前よりなバランスでポジションを取ってしまうと急激にスキーがたわんでしまい、スキーの走りを感じられなくなってしまうので、しっかりとスキーのセンターを意識したポジションが必要になります。比較的少ない力でコントロールでき、コンディションに左右されずに性能を発揮できるバランスの良いスキー。
(可児 徹)

●幅広いレベルの方に、快適にショートターンを楽しませてくれるやさしいバランスのショートターンモデル。トップから受ける抵抗をスムーズにたわみへとつなげてくれます。ソフトなたわみと想像を超えるほどの切れ味は最高の安心要素です。ショートターンをベースにさらなるスピードへの挑戦をしたくなるほどシャープなターンを実現してくれます。スキー操作は軽快で、さまざまなサイズのターンをコントロールできます。ショートターンのレベルを上げるために最適なバランスが整った一台です。
(斉藤 人之)

●大回りから小回りまでターンサイズを容易にコントロールできるオールラウンドモデル。なおかつ軽量で、取り回しが非常に楽です。軽量なスキーですがグリップ力も兼ね備えていて、カービングターンが不得意な方に最適な一台。ハイスピードのターンではスキーが抜けて行く方向にタイミングを合わせて切りかえを行なうことがポイント。カービングターンを実現したい方や中上級者に乗ってもらいたい一台です。
(村松 篤)

●SLモデルでは定評のあるスキー。回転力のすばらしさに加え、エッジグリップの高さとターンから抜け出す操作性の良さが秀逸な一台。乗り手としてはやさしく感じるため、難しいバーンやセッティングに対応しやすいことがアドバンテージになってくるでしょう。簡単に扱えながらも速く滑ることができるスキーです!
(宮下 透)

●テストサイズが193cmと、ほかのブランドと比べるとワンサイズ長かったのですが、その長さを感じさせないほど「曲がりやすさ」がありました。センター部分の厚みが非常に特徴的で、あおったときも少し張りがあっただけに不思議な感覚でした。足場がしっかりと安定するので、ハイスピードでもスキーの挙動やブレなどがなく安定性能が高いことが特徴です。
(上野 健志)

●今年フィッシャーからもう1機種発表されているAL PLATE搭載モデルと比べると、M-PLATEを搭載したモデルのほうが昨年までのスキーのバランスに近いフィーリングを得られました。プレートがやさしいだけではなく、スキー自体のフレックスも軟らかく感じられ、フィッシャーらしい軽快さと高いコントロール性能を感じることができました。あまり特筆した特徴を感じられないのはバランスが良いスキーの特徴。とにかくシンプルな運動でスキーが反応してくれるので、スキーの動きを体感しやすく、速く滑ることはもとより、技術向上もスキーがサポートしてくれます。今年も多くのスキーヤーの支持を受けそうな一台です。
(可児 徹)

●昨年までのマスターモデルとは、まったく別物のスペシャルスキーです。トップ部のフレックスが非常に軟らかく、ターン中、トップ部がカッターの刃のようなイメージで切れ込んでいきます。またALU/KUプレートの効果によるセンター部のどっしりとした安定感は、ハイスピードのなかでスキーヤーの強い味方になってくれるでしょう。ターン中もシャープに雪面をえぐってくる感じは、マスターモデルのなかでは別格。多少シチュエーションを選ぶかもしれませんが、ハードバーンではすごく良い性能を発揮してくれるでしょう。
(高橋 伸嘉)

●オガサカファクトリーチームの選手からのフィードバックを元に毎年開発されている技術選小回りモデル。今季の〈TC-SB〉は小回りに特化しているのはもちろん、よりターンスピードを上げていくことがテーマ。スキーがターン前半からたわみ、ターンスピードを上げていってくれます。決して軟らかいスキーではなく、センター部はしっかりとしているので張りがあり、切りかえ時の横スペースの移動スピードも実現できます。技術選やプライズ検定にチャレンジしている方に!
(村松 篤)

●いろいろな条件、雪質のなかでも乗り心地があまり変わらないオガサカスキー。その代表的なスキーが〈KS〉です。今回のテストスキーはビンディング一体のコンプリートモデルで安定感が高く、サンドウィッチ構造特有のスキー全体のきれいなたわみがあり、ロングターンからショートターンまで滑り手の意思に忠実に弧を描いてくれます。低速域での扱いやすさも定評があり、指導員検定を受検する方にもおすすめです!
(村松 篤)

●スタイリッシュなデザインと条件を問わない対応力が魅力の一台。思いのままに滑れるスキー本来の楽しさを実感できるスキーです。従来モデルと比べスキー自体の剛性が上がり、センター幅がほかの機種と比べ広く安定感のあるターンが可能です。個人的にはこのスキーがオガサカスキーのなかで一番好きです。スキーの爽快さ、楽しさを、この一台でぜひ味わってください。カップルやご夫婦でカラーを変えて、お揃いでコーディネートするとかっこいい!
(鈴木 大智)

●春のザラメ雪+スノーセメントという雪質との良い相性を感じます。非常に回転性能が高く、簡単に回ってきますし、エッジグリップ力もまずますで、とにかく簡単なスキーだと思います。難しいゲートセッティングや掘れたコースなどでは、この扱いやすさが武器になるでしょう。ある程度スキーを走らせるイメージが出る方は、積極的なレース展開ができ楽しんでもらえそうです。
(宮下 透)

●スキーのセンターがとても硬く、そのぶんトップやテールはしなやかに感じられ、メリハリがとてもついたスキーです。圧や外力がスキーに伝わると、足元を中心にトップとテールがすぐにたわみ、反応良く深いたわみを作り出すことができます。足元が安定していて回転性がとてもいいのでとてもよく曲がり、雪質やレベルに幅広く対応できる一台です。
(富井 剛志)

●どんなシュチュエーションでも気持ち良くターンができるスキーです。硬いバーンでは、エッジ全体で雪面をキャッチするグリップ感。そして軟らかいバーンでは、スキーの面で雪をキャッチしていくグリップ感を発揮します。これは他社にはない雪質によっての汎用性です。MADE IN JAPANだけあって、日本の雪を知り尽くしてるので、条件に左右されることなく安心して滑ることができます。ターンの導入、そして抜けも程よい感じがGOODでした。乗り手のレベルを問わず幅広いスキーヤーにお勧めできる一台です。
(高橋 伸嘉)

今シーズンは久しぶりにスキーに行くか。
そんなときは、まずウエアをチェック!!

 久しぶりにスキーをするためにマテリアルを新調しようとご来店されるお客様が多くいらっしゃいます。

 もう何年も着ていないけれど、実際に使ったのは数回だし、きちんとしまっているから、今持っているウエアでも大丈夫だろう。ついついそう考えてしまいがちですが、どんなにきちんとしまっていても一定以上の年月を経たウエアは、もともと持っている機能性に変化が出てしまいやすいものです。

 スキー場はたとえゲレンデを滑るのであっても、自然の雪山。凛と冷えた空気も爽やかな好天に恵まれることもあれば、雪やみぞれ、強い風に見舞われることもめずらしくありません。そんなときに十分に撥水してくれないウエアを着ていれば、濡れて冷えてしまってスキーを楽しむどころではなくなってしまいます。

 そうした意味で、ウエアを新調することは、久しぶりのスキーを楽しむのに欠かせないポイントと言っても良いかもしれません。

 今も昔もウエアの価格はさまざまですが、たとえリーズナブルなものであってもきちんとした機能を備えているモデルも多くなっています。また、人気のバックカントリースキーに挑戦してみたいという場合には、それに見合った高い機能性が必要です。

 スキーブームと言われた80~90年代前半と比べると、ウエアのデザインや機能性は大きく変化しています。ここでは現在のウエアの傾向を、いくつかのタイプに分けて見ていきましょう。

久しぶりなんだし
とりあえずは気軽なモデルから

 せっかくのスキーなのだからお洒落にいきたいところだけれど、自由気ままにお金をかけるわけにはいかない。そんな方も少なくないはずです。交通費やリフト券代、泊まるのなら宿泊費などなど、スキーはやっぱりお金がかかるスポーツだからです。
 そんな方におすすめしたいのが上下セットのウエアです。デザイン的にも上下トータルで考えられていますし、比較的、財布にやさしいモデルが多いこともおすすめのポイント。ジャケットの長さやパンツの裾丈などに注意して選べば、すっきりとした着こなしができるはずです。もし、長いほうがいいのか、短めがいいのかで悩んだりしたら、店舗のスタッフに相談してください。いまどきのサイズのアドバイスを受けられるはずです。

長く着ることもでき
おしゃれ感も高いシンプル系

 すっきりとした単色のジャケット&パンツは、シンプルでお洒落感が高い着こなしです。また、流行りに左右されることがないので、数シーズンにわたって長く愛用できることもおすすめのポイントです。
 選ぶときに気を配りたいのは、ジャケットとパンツの色合わせとシルエットです。たとえば、黒の上下でセットアップすれば、シックな雰囲気の着こなしになりますし、ブルー×グリーン、ブルー×イエロー、赤×ブルー、赤×グリーンなど、街着ではあまりしない色を組み合わせることも、スキーの非日常感を高めてくれるはず。
 ダボっとルーズなシルエットを選ぶか、スリムですっきりとしたシルエットを選ぶかでも雰囲気は大きく変わるので、そこにも気を配って好みの一着を見つけてください。

非日常感を楽しめる
スキーリゾートならではの特別な一着

 久しぶりにスキーに行くのだから、非日常的なスノーリゾートにふさわしい一着で過ごしたい。そう考える方もいるはずです。
そんな方に注目してもらいたいのは、作り手のこだわりが感じられる特別なモデル。デサントやゴールドウインなど、メジャーなブランドもそんなモデルをラインナップしていますし、ズイカやラブなど、まだそれほど知られていないブランドが細部までこだわったウエアを打ち出しています。
 スキー場への行き帰りはもちろん、街着としても使えるデザインを備えていることが多いのも、このタイプのウエアの特徴。機能性の高いスポーツウエアという視点で選んでみることで、その選択肢も大きく広がっていきます。

雪山のハードな環境に耐える
高い機能性を持つ一着

 最近、スキーウエアにも増えてきているのがハードシェルのジャケットやパンツです。ハードシェルというのは、もともと冬山や山岳スキーのような厳しい環境下で身体を保護するために作られたもの。そのため、防水性や透湿性、耐久性に優れた素材が使われており、作り自体も頑丈に仕上げられていることが大きな特徴になっています。
 ハーシェルウエアは、一般的なスキーウエアと異なり、中棉を持っていません。だから、ハードシェルを着るときには、レイヤリング(重ね着)をすることが基本になります。肌にいちばん近い場所には、かいた汗をすばやく逃してくれる吸湿・速乾性に優れたベースレイヤーを着て、その上に保温性と通気性のバランスに優れたミドルレイーヤー(フリースや薄手のダウン)を重ね、さらにその上からハードシェルジャケットを着るという具合です。滑る場所や環境によって、ベースレイヤーの下に汗を肌から遠ざける機能を持ったドライインナーを着たり、ミドルレイヤーとハードシェルの間にソフトシェルジャケットを着たりすることで、そのときどき、場所の気温や気候に合わせた調整をしていきます。
 バックカントリーをめざすときには必至の着こなしですが、ゲレンデでも、スキーをスポーツとして快適に楽しみたいという方にはおすすめのタイプと言えるでしょう。

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