7月 登山の日「富士の山 人の心をうつす 遠き道」
石井スポーツが提唱する安全快適登山術
日本人の象徴ともいえる富士山ですが、ことわざ「富士山に一度も登らぬ馬鹿、二度登る馬鹿」を聞いた方も多いでしょう。アメリカのオバマ大統領も日本に関係の深い政府高官を紹介するスピーチで引用したというニュースもありましたが、諸外国でも日本の象徴と言えば富士山と認識されているのはうれしい限りです。しかしことわざの2度登る馬鹿の言葉の裏には、その登山の苦労が隠されているのでしょう。しかし、石井スポーツのスタッフは、皆様にあえて2度も3度も富士山に登ってほしいと願っております。それだけ趣の異なるルートがあり、1度や2度登っただけでは、その魅力の一端に触れたにすぎません。そこで何度でも登りたくなる安全快適登山術を皆様に披露したいと思います。
2度と登りたくなくなる理由は?
1つは高度の影響で頂上に近づくにつれて苦しくなる。
2つは登り一辺倒で混雑する登山道。途中に木陰もなく疲れた体を癒す術がない。
3つは天候が悪化すると夏でも氷点下近くまで気温が下がり、大変苦労する。
が主なところでしょう。
「敵を知り、己を知らば百戦危うからず」と言いますから、それぞれの対応策を考えてみましょう。
<高山病の防ぎ方>
高山病とは、頭痛やめまい吐き気など、酸素濃度の低下により充分な酸素が体内に供給されにくくなるために起こる症状です。酸素濃度は標高が高くなるにつれて低くなり、富士山山頂付近では6割から7割程度まで減少します。せっかくの富士登山が高山病で台無しになってしまわないように、以下のポイントを意識して臨みましょう。
-ゆっくりマイペースで-
富士登山の基本はゆっくりと高度に順応しながら登ることです。無理をせず1時間に1回程度を目安に休憩をとるようにしましょう。また呼吸の深さもポイントです。無意識な浅い呼吸にまかせず、深い呼吸を心がけましょう。息苦しさを感じたら酸素缶やタブレットタイプの酸素で補給すると良いでしょう。
-水分補給-
水分が不足すると、循環不全という状態になり、末端の組織まで酸素が運ばれにくくなるので、こまめに水分補給を行いましょう。行動中でも簡単に水分補給できるハイドレーションタイプもおすすめです。
-サプリメントの摂取-
鉄分が不足すると、血中のヘモグロビン(主成分は鉄分)が減少し、酸素をうまく体内に取り込みにくくなります。鉄分はもともと不足しがちな栄養素なので、サプリメントなどで摂取しましょう。また、疲労が貯まる事で、高山病のリスクは高まります。疲労を貯めにくくするためにはアミノ酸系のサプリメントが有効です。
<登山ペースと登る時間帯を工夫して快適に行こう!>
富士山では、ご来光を頂上で見たいがために登山者が集中して山頂付近の登山道が渋滞で大混雑になることもあります。こうなると、ご来光どころか、無理して夜中に出発したことがたたり、寝不足で高山病になって登頂も断念!という最悪のケースもあります。こんな不幸なことにならないためには時間差登山がお勧め。ご来光を頂上でというのはよくわかりますが、あふれる人の頭越しに見るご来光よりも、頂上を目指しながら、ご来光と共に山肌が赤く染めあがる様を見るのも大変美しいものです。
基本プランとしては富士山の各登山口を10時頃に出発。ゆっくりペースでおおよそ8合目の小屋に午後2時頃には到着。ひと休みした後、小屋の周辺を散歩して体を高度に慣らすことが大切です。水分も意識してたくさん摂りましょう。夕食を頂いたあとはゆっくり休んで次の日に備えましょう。翌朝は無理をせず4時頃から5時頃に出発。朝日が染め上げる富士山の姿を見ながら頂上に向かいましょう。こうすると日の出をゆっくり楽しんで、混雑する頂上を避けることが出来ます。
★ポイント
午前中に登り始めて午後から崩れやすい天気・雷を避ける。
朝は無理をしないで午前8時頃の登頂を目標として太陽の暖かさを背に受けながら登る。
<富士登山に必要な装備と準備は?>
基本的な装備は一般的な夏山装備で大丈夫です。しかし富士山の頂上付近の気温(8月)は平均最高気温9.1℃ で平均最低気温3.4℃です。頂上付近は町の冬と同じと考えて良いでしょう。ここに風が加わるので(風速1mにつき体感温度は1℃下がる)氷点下に耐える装備を用意する事が必要です。
<装備選びのポイント>
防寒具に加え、夏でもニットキャップ・ウールの手袋は持っていきましょう。
ゴアテックスの雨具は防風にもなるので必携です。
紫外線が強く、日陰がないので熱中症や日焼け防止の帽子や日焼け止めは必携です。
山小屋でも、早朝の行動にもヘッドランプは必携です。
登山靴・トレッキングシューズに加え、ゲイターを用意して砂利が入る事を防ぐ。
下りに備えてサポートタイツを積極的に活用しましょう。
登山道と下山路が違うので、地図も忘れずに用意しましょう。
装備ではありませんが、トイレ協力金に小銭(100円玉)の用意を忘れないように。
以上快適登山のポイントを述べました。ぜひ楽しく登って日本が世界に誇る名峰富士山を愛する登山者になってほしいと思います。
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