8月に入り酷暑の日々が続きますが、皆様におかれましてはお元気にお過ごしでしょうか。8月登山の日テーマは「炎天の空　美しき夏山」です。日々大変暑い思いをされていらっしゃると拝察しますが、この暑さがお米の成長に不可欠とあれば恨むべきは冷夏でしょう。

冷夏の年はチベット高原で分流された偏西風の蛇行により切り離されて独立した大気の渦が寒冷高気圧となり滞留することからもたらされるとされています。しかもこの現象がおこると移動に時間のかかる気圧配置となるため、渇水・大雨、異常高温・低温など異常気象の原因となり、山は荒れ模様の天気となります。

美しき夏山は炎天の空がもたらしてくれると思えば、少しは心も軽く夏の暑さも楽しめると思います。「心頭滅却すれば火もまた涼し」の心ですね。しかし、心は涼しくあっても物理的に暑いわけですから夏の山の熱中症対策は欠かせません。熱中症は最悪死に至りますので、軽くみることは禁物です。

＜熱中症はどのようにして起こるのか？＞

熱中症を引き起こす条件は、「環境」と「からだ」と「行動」によるものが考えられます。
要因その1　環境
　気温が高い　日差しが強い　湿度が高い　急に暑くなった

要因その2　からだ
　寝不足・二日酔いといった体調不良　風邪気味やお腹を下す等の脱水状態

要因その3　行動
　激しい運動や慣れない運動　長時間の屋外活動　水分補給を怠る

これら環境・からだ・行動の3つの要因により体温の上昇と調整機能のバランスが崩れて、身体に熱が溜まってしまう状態が熱中症です。

＜熱中症を予防するためには？＞

熱中症を予防するためには、水分・塩分補給、帽子、涼しい服装、日陰とされています。
これを登山に当てはめると第一は水分・塩分補給ですね。登山活動中の水分補給の目安は4月にご紹介をしました。

少しおさらいをすると

消費水分の計算式　行動時間×体重×5ml＝脱水量

例）5時間のハイキング×60㎏×5ml＝1500ml（1.5リットル）

脱水量と同じ水分を補給する必要があります。

夏の場合はより発汗量も多いので、さらに多い目に水分を補給する必要があります。加えてサプリメントやアイソトニック飲料を用意するとよいでしょう。当然渇きを覚える前に水分補給というのが常識ですが、登山は大量の発汗を伴い、さらに長時間活動するわけですから効果的な水分補給を心がけましょう。と同時にカロリー補給も忘れずにしましょう。低栄養状態も熱中症の要因です。

帽子、涼しい服装、日陰も予防の大切な要素にあげられています。

登山用の帽子には風通しや日差しを遮る工夫を凝らしたものがあります。

涼しい服装は登山の場合なかなか難しいですね。タンクトップや短パンでは虫や日焼けなど別のリスクが高くなります。UVカットや速乾性の素材等をうまく活用するのが良いでしょう。日陰はどうでしょう。登山道を北面にとる等の対策も考えられますが、一番は早朝から行動して気温のあがる日中には行動を終えるのが良いでしょう。そうすれば夏山登山の危険の一つである雷をさけることも出来ます。
以上　熱中症の予防と対策で安全登山をするためのガイドラインを述べました。皆様もこのガイドラインに沿って美しい夏山を安全に楽しんでほしいと思います。