12月登山の日 「蒼氷の尾根 足跡きざむ 冬のやま」
おすすめの山 南アルプス 仙丈岳
今月は、仙丈岳を紹介しましょう。
深田久弥の著書「日本百名山」-新潮社-によると、私の好みで、日本アルプスで好きな山は北では鹿島槍、南では仙丈である。何よりその姿がよい。(中略)
南アルプスの山はたいてい連嶺の形を取っているが、その中で仙丈岳は独立のおもむきをそなえている。と紹介しています。
くわえて、活字で読むことのできる一番古い記録、明治42年の河田黙氏の登山記では前岳三柱大神が祭られてあり、古くからの登拝者はあったのであろう。
おそらくその信仰登山は市之瀬からであっただろう。と記しています。今回はこの地蔵尾根から登るルートを紹介しましょう。
(行程)
市之瀬 地蔵尾根登山口(好意により8台程度駐車が可能)→松峰→松峰小屋(避難小屋)→地蔵岳→仙丈岳
※途中に避難小屋があるので利用させていただくか、2300m付近に幕営をして登ることになります。
冬期営業小屋はないので、すべてを担いで行動する体力と技術を必要とする尾根です。
途中積雪が多いときは雪崩・転滑落の危険性がある斜面を登るので、十分な雪山トレーニングと雪の判断力が必要です。
下降は地蔵尾根を往復が一般的ですが、北沢峠経由、さらには甲斐駒ケ岳・地蔵岳と縦走すれば、非常に充実した山行になるでしょう。
<冬山のウエアレイアリングの工夫>
冬山でよくアプローチからジャケットやダウンパーカーを着用して大汗をかきながら行動する人を見かけます。
一度衣類を汗などで濡らしてしまうとリカバリーはほぼ不可能になります。
「体が冷える経路別に対策を立てる」ことにより、効果的に体を寒さから守り、軽快に行動しましょう。
①熱伝導の対策
登山中に冷たいものに触れるのは、手・足と休憩時に座る時でしょう。対策としては手袋・断熱性の高いインソールの用意・休憩時の携帯断熱マットが考えられます。
【おすすめのインソール】
ホシノ “B+HF”
B+LDシリーズをベースに吸湿発熱素材をプラスしました。「冷たくならない」程度ですが冬場の足を守ります。
¥5,940(税込)
【おすすめのシート】
サーマレスト 30671 “Zシート”
耐久性に優れた超軽量のクローズドセルフォームで作られたシート。アルミ蒸着されているので保温性があります。
¥2,420(税込)
②対流の対策
登山中の対流と言えばもちろん風です。
対策としてはゴアテックスウエアの活用が定番ですが、この時期さらに快適にハイキングをするためにはより湿気のこもりにくいソフトシェル素材のジャケットもお勧めです。
【おすすめのソフトシェルジャケット】
MILLET MIV7395 “K SHIELD HOODIE”
肩部分に補強素材を採用し、脇にベンチレーションファスナーを装備。防風性とストレッチ性に優れたソフトシェルジャケット。
¥20,900(税込)
③射放の対策
外気温が低いと登山中にどんどん熱を放出します。
気温に応じた服装のレイアリングを心掛けることが基本です。
体感的に特に熱の放出を感じられるのは頭・首・手首・足首ではないでしょうか。
頭は熱の変化に弱い脳細胞を守るため血管が集まり、首と名のつくところは太い動脈が通る場所で共に体温維持に関係する血流の要となる場所です。
ここを効果的に保温するとより薄いレイアリングで行動が出来ます。
④発汗の対策
運動中に着用する衣服の役割は、
▽寒さなどの外部環境の変化から体を保護する。
▽体から出る熱や湿気などの変化に対して、衣服内環境を快適に保つ。
でしょう。体温が上昇すると、服の中の空気の温度も上がり、最初は暖かさを感じますが、体表からは温度調節をしようと汗が出てきます。
汗は衣服や体表で蒸発するときに皮膚の温度を奪います。
冬山でいくら厚着をしてもなかなか暖かさを感じないのはこれが原因です。
対策として保温性に優れた吸汗速乾性機能素材のアンダーウェアを着用しましょう。
【おすすめのアンダーウェア】
PHENIX PH652UT21 “Outlast Mid Wt.Stretch Crew”
熱い時は熱を逃がし、寒い時は保温する、ウェア内の温度・湿度を快適にコントロールするアウトラスト素材。消臭効果のあるデオシーム糸を使用。
¥5,060(税込)
<冬山でコンロを使いこなすコツ>
①風防を用意する。
②低温用カートリッジの準備(もちろんコンロと同一メーカーを準備するのはお約束)。
③ライターを携帯(気温が低いと着火装置が効かなくなることがある)。
※これからの時期に活躍するのが風防一体型のコンロ・ナベです。少し風があっても効果的に炊事が出来ます。
<冬山で炊事をする工夫>
①食材をあらかじめ切って鍋に入れればすぐに調理できるようにしておく。
②サーモスの山専ボトルにお湯を用意して調理時間を短くするのもよい工夫です。
お茶やカップラーメン程度であればコンロを使わず作ることができます。
コツは一度ボトルにお湯を入れて中を温めておき、再度そのお湯を沸騰させて詰めることです。
<雪山のテント泊>
雪山のテント泊では低温・風・積雪の対策が必要です。
保温性の高い寝袋でも床からの断熱を怠るとその性能を発揮できません。
テント内では結露が発生してテントの内側が凍り、酸欠の可能性もあります。
当然フライシートでは雪山に対応できないので、冬用外張り、雪用ペグの用意、雪から水を作るのに効率の良い風防一体のクッカーセットの用意も必要です。
あらゆる点で夏山のテント泊より困難性と危険性が高くなるので、はじめは雪山の低山から経験を積み、雪山のテント内での生活技術を磨きましょう。
【おすすめのテント】
PAINE“ G-LIGHT X”
極地遠征にも対応するシングルウォールテント。
軽量・コンパクトながら耐久性も高く、山岳テントとしての理想を追求したスペックです。
¥55,000(税込)
【外張り】
PAINE“G-LIGHT用外張り”
テント全体を覆うスカート付きの外張りです。
スカートに雪をのせて使用することで冬季の厳しい風雪からテントを守り、保温性を向上させます。
出入り口は凍結防止のため吹き流し式となっていて、悪天時でも出入りがしやすい。
¥18,480(税込)
【雪用ペグ】
MSR“ブリザードステイク”
雪上や砂地で重宝する幅広のステイクです。軽量かつ高強度のアルミを使用しています。
¥880(税込)
【風防一体型コンロ・低温用ガスカートリッジ】
プリムス P-ETA-ESP “イータ スパイダー”
少人数での使用を想定し、軽量なバーナーと専用ポット及び風防を組み合わせたオールインワンクッキングシステム。
通常の2倍以上の燃焼効率で、少ない燃料で短時間でお湯を沸かすことができます。
持っていくガスカートリッジの数量を減らすことでトータルウェイトの軽減に繋がります。
¥16,632(税込)
冬は自然の厳しさと美しさを兼ね備えたすばらしい時期ですが、日の出・日の入りを表示する時計を使用して1日の行動予定を決めたり、 気温の変化に対応しやすいウエアリングを考えたり、温かい高カロリーの飲み物の準備等、綿密な登山の準備が必要です。
【おすすめの冬靴】
AKU 970ISG “モンタニャードGTX”
アッパー部に3mm厚のレザーを使用し、冷えやすい甲から指先にかけて抜群の保温性を持ち、様々な地形を安定して歩行できるソール構造を持っています。
¥63,800(税込)
【おすすめのザック】
グレゴリー “バルトロ75”
冬山装備一式を収納するのに最適な容量。 重い荷物も腰に伝達させ、個人の体型に合わせて自動で角度調節がされるオートフィット機能で肩と腰のハーネスもフィット感抜群。 また、バッグレングスも身長や体型に合わせてS/M/Lと3サイズの展開。
¥31,570(税込)
【おすすめの時計】
スント SS014809000 “コア レギュラーブラック”
耐久性に優れた複合ケースに高度計や気圧計、電子コンパスを搭載した視認性の高いアウトドアウォッチ。 日の出/日の入時刻も表示できます。アウトドアウォッチの中では希少な電池式なのでバッテリーの心配も少ない。
¥27,720(税込)
「用意周到な準備で安全登山」皆様がすばらしい登山をされる事を石井スポーツスタッフ一同願っております。