2019年 11月登山の日 「冬の便り 高山の稜線 白く装う」

11月登山の日

 

おすすめの山 【赤岳】

八ヶ岳は深田久弥の著書「日本百名山」-新潮社-によると、「八ヶ岳という名はその頭の八つの峰から来ているというが、麓から仰いで、そんな八つを正確に数えられる人は誰もあるまい。」と紹介されています。しかし、八ヶ岳において盟主と言うべきは赤岳でしょう。今年、みなさんも冬の赤岳を訪れませんか。
 
(行程)
1日目 登山口-県界尾根への分岐点-小天狗-大天狗(泊)
2日目 大天狗-第一岩峰-赤岳山頂
※往路を戻る・赤岳鉱泉側に下山する、いずれも通常もう1泊が必要。
3日目 下山日
 
コースの特徴
県界尾根上部の夏の鎖場までは樹林帯のラッセルがポイントになる。上部に行くに従い傾斜が強く、夏の鎖場付近はロープで確保した方がよい。また、積雪状況によれば雪崩の可能性もあるので、十分注意したい。ルートの白眉は上部にかかると見え始める赤岳東壁の迫力である。
 
 

冬山のリスクと防御

ひとたび晴天に恵まれると大変美しい姿を見せてくれる冬山ですが、そこには様々なリスクが隠されています。雪の山に登る第一歩はリスクを知り、リスクから身を守る防御の力を身に着けることから始まると言っても過言ではないでしょう。今回は転滑落・雪崩のリスクから身を守る用具の知識を中心に進めたいと思います。
 
 

ピッケル

岳人の魂と言われるピッケルですが、歩行時のバランス確保・滑落停止や確保支点等、雪山でこれほど多用途に使えるギアはないでしょう。現在、目的別に4タイプが販売されてます。
 
 
1.マウンテニアリングアックス


クラッシックな雪山から雪壁・岩稜登攀までオールラウンドに使用するモデル。
 
【ピッケル選択の基礎知識】
雪山から雪壁・岩稜登攀までオールラウンドに使用するモデルはブレード・ピック共にシャープで強度のある(タイプB以上)を選びましょう。シャフトの長さはヘッドを握って、体側に添わせて直立した時にくるぶしに来る長さが標準。岩稜・雪稜で主に使う場合は60㎝前後が使いやすく、重荷背負う冬期縦走の場合は下降の安全性を考えて石突が床につく長さを選ぶと良いでしょう。
 
 
2.ウォーキングアックス


主に氷河上等、歩きが中心の雪山用。アイスステップや雪庇の乗越に使用するモデル
 
【ピッケル選択の基礎知識】
北八ヶ岳に代表される雪上歩行で使うモデルは、軽量で石突が床につく長さを選ぶ。山岳スキーも行い、雪山で使用できるストックを持っているときはシャフトが短めで、急斜面を登る用途に使うスキーマウンテニアリングモデルを選べば兼用出来て使い勝手が良いでしょう。
 
 
3.アイスクライミングアックス


急傾斜のアイスクライミングで使用するモデル
 

4.テクニカルマウンテニアリングアックス


急傾斜やオーバーハングしたアイス・ドライツーリング用のテクニカルルートで使用するモデル

 

【ピッケル選択の基礎知識】
冬期のテクニカルな登攀ルートにおいてアイスセクションやドライツーリングセクションだけでなく、急峻な雪壁まであらゆる状況下で使いやすいタイプ。長さはほぼ50cmで共通。近年ではオーバーハングをドライツーリングで登り、岩壁から一筋垂れ下がる氷柱に乗り移る等、非常に高難度なルートを登るための高難度ドライツーリング・アイスクライミング専用のモデルも多くなりました。
 
※マウンテニアリングアックスのシャフトのカーブについて
マウンテニアリングアックスのシャフト形状はカーブが付いたモデルが主流となり、むしろストレートシャフトモデルはスノーウォーキング・スキーマウンテニアリング用モデルにほぼ限られてきています。シャフトの形状はピッケルテクニックと連動しているので、連動したテクニックで使用しないと機能を発揮できないので注意が必要です。

 
 

ピッケル

アイゼンも次の2タイプに分類されているので、用途に合ったものを選びましょう。主にシティー用途だったチェーンアイゼンですが、軽量で装着が簡単なものが増えて、林道のアプローチなどで積極的に使う人が増えてきました。アイスクライミングのアプローチでアイゼンの爪を破損消耗させない目的で使う人もいます。
 
 
1.マウンテニアリング ・スキーツーリング用アイゼン


雪上の歩行・氷化した斜面・凍てつく岩稜・岩壁でオールラウンドに使用できるアイゼン。スキーツーリング・残雪の雪上歩行用に軽量なアルミを使ったモデルもある。
 
 
2.アイスクライミング用アイゼン


垂直の氷柱や、垂直からオーバーハングの岩場を登るためのアイゼン。フロントポイントがモノ(一本)のタイプが主流。
※アイゼンと靴の形状に相性があるので、購入時は登山靴をお持ち下さい。
 
 

雪崩対策装備

近年雪崩対策用具(雪崩ビーコン・プローブ・ショベル)が大変使いやすくなりました。 雪山に向かう際は、携行するが常識と言われています。しかし雪崩ビーコンは高価でもあり、命を託すたいせつな機器です。各装備を準備するポイントを整理しましょう。
 
 
雪崩ビーコン(アバランチトランシーバー)


雪崩に埋没した際に、機器から発信される電波を受信して埋没点を特定します。 発信周波数は457kHzで世界共通です。発信は1本のアンテナ、受信は3本のアンテナで行う雪崩ビーコンが標準です。現在 埋没した人までの距離をデジタル表示するだけでなく、自分が埋没したときにより早く探索されるように、発信アンテナの方向を自動的に切り替えるなど各社は工夫を凝らしています。 機能的には各社ともに一定の水準に達していますから、自分の雪崩ビーコンの特性をよく理解して、捜索訓練をする事が重要です。
 
 
ゾンデ(プローブ)・ショベル


雪崩ビーコンだけでは埋没者を救出出来ません。プローブは雪の中に埋没している場所を特定するのに使います。長さは300センチが標準で、径が太くて、埋没深を確認しやすい目盛を刻んである物を選びます。引き伸ばすのにコツが必要ですから、公園などで訓練をしましょう。ショベルは素早く埋没した人を救出する重要な用具です。ショベルを有効に使えば、埋没深が1mでも10分程度で救出出来ますが、手で掘れば1時間以上かかるというデータがあります。 軽量でも十分な強度のあるショベルを選びましょう。
 
 
 

<そもそも雪崩に合わないために >
埋没した人を助けるのに重要な役割を持つ雪崩対策装備ですが、天候を把握して、危険性の増大する大量の降雪や気温の急激な変化が観測された時は入山を控える。地形図をよく見て、より雪崩に遭遇しない登路を検討する。登山中の積雪や雪崩の発生状況などの現地観察がより安全な登山につながります。アバランチギアは雪崩ビーコン・プローブ・ショベルの3つが揃って初めて雪崩に対処することができます。また、トレーニングなしに使いこなすことが難しいので、登山学校では机上・実技の講習会を実施しています。ぜひ講習にご参加ください。
 
 
 
 
「備えあれば憂いなし」
皆様がすばらしい登山をされる事を石井スポーツスタッフ一同願っております。

 
 

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