2020年 12月 登山の日 「深山分け入り 凍てる稜線に一筋の登路見ゆ」

 

12月登山の日

悪沢岳の稜線から見た塩見岳

 

おすすめの山 塩見岳

今月は「塩見岳」を紹介しましょう。
 
以前に夏の塩見岳を紹介しました。今回は南アルプスの二軒小屋付近から伸びる蝙蝠尾根を紹介したいと思います。蝙蝠尾根に取りつくには傳付峠を越えていくことになると思いますが、この道はかつて伊那谷と富士川谷をつなぐ伊奈街道として整備されたことがありました。南アルプスを横断して傳付峠・三伏峠を越える長大な街道も厳しい自然で補修がかなわず、数年で通れなくなったようですが、各所にかつての開削された道の痕跡が見えます。
 
今年、素晴らしい展望と奥深い山の雰囲気を味わいに「塩見岳」を訪れませんか。
 
 

おすすめのコース

(行程)

田代発電所入口-傳付峠-二軒小屋-蝙蝠岳-塩見岳
※下降は往路を戻るか三伏峠に出て伊那側に下山します。いずれにしても実働6日で予備日は4日以上必要な第一級の冬山です。
 
 

ピッケル

岳人の魂と言われるピッケルですが、歩行時のバランス確保・滑落停止や確保支点等、雪山でこれほど多用途に使えるギアはないでしょう。現在、目的別に4タイプが販売されてます。
 

1.マウンテニアリングアックス

クラッシックな雪山から雪壁・岩稜登攀までオールラウンドに使用するモデル。
 
【ピッケル選択の基礎知識】
雪山から雪壁・岩稜登攀までオールラウンドに使用するモデルはブレード・ピック共にシャープで強度のある(タイプB以上)を選びましょう。シャフトの長さはヘッドを握って、体側に添わせて直立した時にくるぶしに来る長さが標準。岩稜・雪稜で主に使う場合は60㎝前後が使いやすく、重荷背負う冬期縦走の場合は下降の安全性を考えて石突が床につく長さを選ぶと良いでしょう。
 
※マウンテニアリングアックスのシャフトのカーブについて
マウンテニアリングアックスのシャフト形状はカーブが付いたモデルが主流となり、むしろストレートシャフトモデルはスノーウォーキング・スキーマウンテニアリング用モデルにほぼ限られてきています。シャフトの形状はピッケルテクニックと連動しているので、連動したテクニックで使用しないと機能を発揮できないので注意が必要です。
 
 

2.ウォーキングアックス

主に氷河上等、歩きが中心の雪山用。アイスステップや雪庇の乗越に使用するモデル。
 
【ピッケル選択の基礎知識】
北八ヶ岳に代表される雪上歩行で使うモデルは、軽量で石突が床につく長さを選ぶ。山岳スキーも行い、雪山で使用できるストックを持っているときはシャフトが短めで、急斜面を登る用途に使うスキーマウンテニアリングモデルを選べば兼用出来て使い勝手が良いでしょう。
 
 

3.アイスクライミングアックス

急傾斜のアイスクライミングで使用するモデル。
 
 

4.テクニカルマウンテニアリングアックス

急傾斜やオーバーハングしたアイス・ドライツーリング用のテクニカルルートで使用するモデル。
 
【ピッケル選択の基礎知識】
冬期のテクニカルな登攀ルートにおいてアイスセクションやドライツーリングセクションだけでなく、急峻な雪壁まであらゆる状況下で使いやすいタイプ。長さはほぼ50cmで共通。近年ではオーバーハングをドライツーリングで登り、岩壁から一筋垂れ下がる氷柱に乗り移る等、非常に高難度なルートを登るための高難度ドライツーリング・アイスクライミング専用のモデルも多くなりました。
 
 

低体温症を防ぐレイヤリング術

低体温症は寒気に長時間さらされると発症します。低温に加え、強風・衣類の濡れが発症を加速させます。凍傷の発症は-4℃以下の寒冷刺激にさらされた時に発症します。発症には風力、湿度、寒冷曝露(ばくろ)時間、服装が関係します。注目していただきたいのが、共に【濡れ】がその要因となっています。近年は暖冬傾向ですから、南岸低気圧の通過に伴う湿雪や標高の高い山の降雨等、通常では考えられない事態にさらされる事が多くなりました。十分な準備で冬山に向かいましょう。

 

①ベース(インナー)レイヤー

湿気を吸収、吸着熱を発して、保温性に優れるメリノウールのベースレイヤーの下に、化繊の吸汗速乾アンダーを着用するとさらに濡れに強く快適です。
 

②ミドルレイヤー

フリースは保温・透湿性能共に行動に適しているので、おすすめですが嵩張ります。そこで、はっ水・防風の薄手のミッドシェルを活用して、森林限界まではミッドシェル・ベースレイヤーを組み合わせで行動して、森林限界以上は撥水ダウンを使ったインナーダウンを着用すると、濡れに強く携帯時にかさばらず便利です。
 

③アウターレイヤー

冬山は思わぬ降雨による濡れや過冷却水による凍結等、厳しい条件に耐える防水透湿素材ジャケットに加えて、状況に応じて脱ぎ着のしやすいサイドジッパーを備えたオーバーパンツがお勧めです。
 

④防寒着

休憩時やテント泊・クライミングのビレイ時などコンパクトで暖かいダウンジャケットは必携です。濡れに強い撥水加工の高品質ダウンを選びましょう。
低体温症を防ぐためには風・濡れを防ぐ効果的なレイヤリングに加え、十分なカロリー補給。現地の情報(気温、雪量、風速など)を収集して、充分な装備を準備しましょう。
 
 

手足の凍傷を防ぐために

 

①手袋

手袋も凍傷を防ぐためにインナーグローブ+ウールグローブ+オーバーグローブとレイアリングすると効果的です。特にインナー・ウールグローブは必ず予備を用意して濡れに備えます。
 

②靴・靴下・スパッツ

濡れ、強烈な寒気に対応できるワンランク上の保温性を備えた靴が必要です。靴下は良質のメリノウールは当然ですが、インソールを断熱性の高いものに取り換えるのも効果的です。加えて雪の侵入を防ぎ・保温性を高めるゲイター(スパッツ)は冬用のバンドに強度のあるものを選びましょう。フロント開閉タイプは着脱がしやすくてお勧めです。
 
 

凍傷は寒冷からの保護に加えて、濡れた状態に強風を受けると凍傷の危険性が高くなるので、濡れた衣服・グローブなどは直ぐに交換しましょう。また、凍傷は患部が白くなって、疼くような痛みを覚える初期段階で、ぬるま湯につけたり、入念にマッサージするなどの処置を施しましょう。

 
 

おすすめ用具

ピッケル

グリベル エアーテックレーシング・J

 
アイゼン

ペツル バサック T05A レバーロックユニバーサル

 


テルヌア CHAQUETA ALPINE PRO JACKET

レディース
メンズ
 
パンツ

テルヌア PANTALON ALPINE PRO PANT

レディース
メンズ
 
フリース

テルヌア SHIOMI JACKET

レディース
メンズ
 

 

 

「備えあれば憂いなし」
皆様がすばらしい登山をされる事を石井スポーツスタッフ一同願っております。

 

 

塩見岳