四阿山頂上付近から北アルプスの眺め
おすすめの山 四阿山(あずまやさん)2354m
今月は四阿山を紹介しましょう。山名の由来は山の形があずまや(公園などの壁のない小屋)の屋根に似ているところからと、日本武尊が東征からの帰り鳥居峠の上に立って東を振り返り、弟橘姫を偲んで『吾妻はや』と嘆かれた。との説があります。山麓の山家神社に残る銅製懸仏(永享12年)に「四阿山」の銘が刻まれているところから、室町時代の古くからこの名で呼ばれていたようです。今年歴史とロマンの呼び名を持つ四阿山に登りませんか。
おすすめのコース
あずまや高原ホテル登山者駐車場‐1841m地点-2279m地点-四阿山頂上(往路を戻る))
コースの特徴
四阿山は四季良く登られる山ですが、冬期は雪崩の危険性の少ないあずまや高原ホテル(休業中)登山者駐車場からのルートが一般的です。駐車場から別荘地帯を抜けて広々とした牧場を登り、樹林帯を少し登ると里宮に出ます。ここから傾斜が増して少し苦しい登りとなりますが、ほどなく夏は草原地帯の開けたところに出ます。ここまではスキー登山のトレースや上り下りのトレースが重なり、下降時には迷いやすいところなので、振り返りながら周りの状況をよく確認しながら登りましょう。中四阿からのルート・根子岳からのルートが合流してくると尾根の先に頂上が見えます。トレースがあるときは注意して登る程度の危険性ですが、尾根が細くなり、頂上直下は急斜面なので、ピッケル・アイゼンを用意して登山しましょう。
「備えて安心安全春山登山術」
春注意するポイント
・南から湿った空気をもたらし、南岸の低気圧が急速に発達して春の嵐となる。
・山麓では雨だが、稜線部は降雪となり大規模な雪崩が発生する危険性が高い。
・暖かい湿気の多い風が残雪で冷やされて霧が発生しやすいので視界不良となりやすい。
もちろん転滑落の危険もありますが、気象遭難の危険性がいつもより高いことに注意を払いましょう。
準備のポイント
①ベース(インナー)レイヤー
ベース(インナー)レイヤーと化繊の吸汗速乾アンダーを効果的に組み合わせる。湿気を吸収、吸着熱を発して、保温性に優れるメリノウールのアンダーがこのお時期おすすめですが、ベースレイヤーの下に、化繊の吸汗速乾アンダーを着用するとさらに濡れに強く快適です。
②ミドルレイヤー
ミドルレイヤーにフリースを活用している人が多いと思いますが、今、適度な保温性に加えて通気速乾性を持ちさらにストレッチ性に優れたミドルレイヤーが開発されています。積極的に活用すると快適です。アイデアとしては、春は気温も高めなので、はっ水性・防風性のある薄手のソフトシェルを活用してソフトシェル・ベースレイヤーを組み合わせて行動中の発汗と不安定な天候下の降雨や降雪に備えると良いでしょう。
③アウターレイヤー
思わぬ降雨による濡れや過冷却水による凍結等、より厳しい条件にさらされることを考えて防水透湿素材のジャケットであることは当然ですが、防水透湿性に加えて通気性を持ち、より日本の状況に応じた素材を使ったジャケットがおすすめです。オーバーパンツは状況に応じて脱ぎ着のしやすいサイドジッパーを工夫した(フルオープンもしくは長いサイドチャック)製品がお勧めです。
④防寒着
休憩時やテント泊・クライミングのビレイ時などコンパクトで暖かいダウンジャケットは大変便利ですが、濡れに強い撥水加工ダウンや濡れに強い化学繊維綿(かさばりを抑えた素材があります)の製品を選びましょう。
⑤手袋
手袋も凍傷を防ぐためにインナーグローブ+ウールグローブ+オーバーグローブとレイヤリングすると効果的です。ロープを使用しない登山では、蒸れない素材のゴムを使用した製品・ロープを使う場合はロープの制動コントロールがしやすい手のひらが皮製のグローブと使い分けましょう。忘れてはならないのがインナーグローブ。予備も用意して濡れに備えましょう。
⑥靴・靴下・ゲイター
濡れたり寒くなった時に容易にケアが出来ないのが足回りです。靴はワンランク上の保温性を備えたものを選び、靴下は良質のメリノウールは当然ですが、インソールを断熱性の高いものに取り換えるのも効果的です。加えて雪の侵入を防ぎ・保温性を高めるゲイター(スパッツ)は冬用・バンド式で強度のあるものを選びましょう。ベルクロ式は着脱がしやすくて、着脱のトラブルがないのでお勧めです。
⑦紫外線対策とサングラス
春の紫外線は要注意。太陽高度が上がってくる3月から4月は7・8月とほぼ同じ紫外線が放出されています。日焼けは疲労につながる事はご存知と思いますが、忘れがちなのは目から入る紫外線も肌に日焼けを起こさせます。当然残雪期に登山される方は雪目予防で必携ですが、長年紫外線を水晶体で受け続けると白内障の原因なるのでハイキングでもサングラスを有効活用しましょう。
春の安全登山で心掛けること
視界不良で行動できないときは、ツエルトを活用して体力の温存を図る。風で体感温度が下がる状況下ではサーモスとサプリの活用で低体温症の予防と行動するカロリーの温存に努めましょう。