2023年 11月登山の日


11月登山の日

 

おすすめの山 苗場山

今月は再び苗場山(2,145m)を紹介しましょう。
苗場というと、スキーワールドカップやバックカントリースキーというように、スキーのイメージが先行しますが、「北越雪譜」の著者 鈴木牧之(ぼくし)は「苗場山は越後第一の高山なり、魚沼郡にあり登り二里という。絶頂に天然の苗田あり、依て昔より山の名に呼ぶなり、峻岳(険しい山)の巓に苗田ある事甚だ奇なり」とその山容と高層湿原の様子を表しています。登山道は越後湯沢側・秋山郷側共に登山口があり、枝ルートをあわせると8つの登山道を数えることができます。積雪期はスキー等を使わないと大変ですが四季折々、楽しめる名山です。
今年越後第一の高山なりと称えられる名山、苗場山に登りませんか。
 
 

おすすめのコース

 

一番ポピュラーなのは和田小屋、神楽峰を経由する三俣コースですが、筆者は元橋から赤湯温泉経由で登りました。
元橋-鷹ノ巣峠-赤湯(昌次新道)深穴岩-苗場山(下山は往路をはじめ各所に下ることができる)
 
【コースの特長】
初めの林道は所々ぬかるみがあり、苦労しますが、おおむねはっきりした歩きやすい道です。11月になり、斜面・頂上台地に雪が積もると、ルートファイデング力や雪崩等の危険性の評価などのスキルを求められ、一気に難しい山に変貌するので要注意です。(11月には山頂ヒュッテは閉所されます)
 

 

11月登山の日
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雪山安全登山の基礎知識

 
今月は困難な状況に応じたウエアリング、手袋のレイアリング、ピッケルとアイゼンの選択の基礎についてお伝えします。
 
<低体温症・凍傷を防ぐレイヤリング術>
低体温症は寒気に長時間さらされると発症します。低温に加え、強風・衣類の濡れが発症を加速させます。凍傷の発症は-4℃以下の寒冷刺激にさらされた時。発症には風力、湿度、寒冷曝露(ばくろ)時間、服装が関係します。注目していただきたいのが、共に【濡れ】がその要因となっています。近年は暖冬傾向ですから、南岸低気圧の通過に伴う湿雪や標高の高い山の降雨等、通常では考えられない事態にさらされる事が多くなりました。十分な準備で冬山に向かいましょう。
 

1.ベース(インナー)レイヤー

 
基本は湿気を吸収、吸着熱を発して、保温性に優れるメリノウールのベースレイヤーが一押し。
ベースレイヤーの下に化繊の吸汗速乾アンダーを着用するとさらに汗戻りによる濡れに強く快適です。
 
 

 

2.ミドルレイヤー

 
フリースは保温・透湿性能共に行動に適しているので、従来よく使用されていました。今注目は、通気性の優れたポーラテックアルファーなどを使用した中綿のインシュレーションミッドレイヤー。通気性があり、適度な保温力を持ち合わせるので快適です。中綿インサレーションの利点は気温の低下・強風など厳しい自然条件下では、その上にソフトシェルを着用するとフリース以上の保温性を発揮して低体温症を防いでくれます。
 

 
 

3.アウターレイヤー

 
冬山は思わぬ降雨による濡れや過冷却水による凍結等、厳しい条件に耐える防水透湿素材ジャケットに加えて、状況に応じて脱ぎ着のしやすいサイドジッパーを備えたオーバーパンツがおすすめです。
 

 
 

4.防寒着

 
休憩時やテント泊・クライミングのビレイ時などコンパクトで暖かいダウンジャケットは必携です。濡れに強い撥水加工の高品質ダウンを選びましょう。
 

 
 
<手足の凍傷を防ぐために>
凍傷は寒冷からの保護に加えて、濡れた状態に強風を受けると凍傷の危険性が高くなるので、濡れた衣服・グローブなどは直ぐに交換しましょう。また、凍傷は患部が白くなって、疼くような痛みを覚える初期段階で、ぬるま湯につける、入念にマッサージする、などの処置が必要です。
 

1.手袋

 
手袋も凍傷を防ぐためにインナーグローブ+ウールグローブ+オーバーグローブとレイアリングすると効果的です。特にインナー・ウールグローブは必ず予備を用意して濡れに備えます。
 

 
 

2.靴・靴下・ゲイター(スパッツ)

 
濡れ、強烈な寒気に対応できるワンランク上の保温性を備えた靴が必要です。靴下は良質のメリノウールは当然ですが、インソールを断熱性の高いものに取り換えるのも効果的。加えて雪の侵入を防ぎ・保温性を高めるゲイター(スパッツ)は冬用のバンドに強度のあるものを選びましょう。フロント開閉タイプは着脱がしやすくておおすすめです。
 

 
 

ピッケル・アイゼン選択の基礎

現在、主に雪壁・雪稜に使うマウンテニアリング用とアイスクライミング・ミックスクライミング用の2つのタイプに大別されます。アイゼンも同様に2つのタイプがありますから用途に合ったものを選ぶことが肝要です。
 
 

マウンテニアリング用(雪山)ピッケルの選び方

一般的な雪山から岩稜・雪稜等のバリエーションルートまで汎用性の高いピッケル。雪上歩行と登攀の割合によって適切なシャフトの長さを選びやすいように約55㎝から65㎝までラインナップされています。主に雪上の歩行が多い場合はトレッキング(一般雪山)モデルが軽量で使いやすいと言えます。
※ピッケルの長さについて
ヘッドを握って、体側に添わせて直立した時にくるぶしに来る長さを標準として各自の山行内容や技量に応じて調節しましょう。
 

 
 

マウンテニアリング用(雪山・スノーハイキング)アイゼンの選び方

雪上の歩行から氷化した斜面や、凍てつく岩稜までオールラウンドに使用できるアイゼン。雪上歩行用に軽量なアルミアイゼンや、傾斜のない低山や林道のアプローチ用に4~6本爪の軽アイゼンやチェーンスパイクもあります。購入の際の注意点としては、靴とのマッチングが大切です。
 

 
 
ピッケルやアイゼンのご購入の際は、ぜひスタッフにご相談ください(アイゼンの購入に関しては、ご使用いただいている登山靴をお持ちいただけるとスムーズです)。また、使いこなすにはトレーニングが必要です。登山学校では机上・実技の講習会を実施しています。ぜひ講習にご参加ください。
 
 
「用意周到な準備で安全登山」皆様がすばらしい登山をされる事を石井スポーツスタッフ一同願っております。

 

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