おすすめの山 谷川岳
今月は谷川岳を紹介しましょう。
大正から昭和初期にかけて活躍した大島亮吉が谷川岳のマガチ沢の完登と一ノ倉沢・幽ノ沢の試登をおこなった報告『登高行』に「總(すべ)ては尚研究を要すべし、近くてよい山なり」と記したことから、時の登山界に谷川岳の名を広めるきっかけとなりました。
その後、困難な岩壁に多くの岳人が命を懸けて挑み、数多の栄光と悲劇が繰り返され、多くの伝説が生まれました。近年映画化された神々の山嶺の主人公 羽生 丈二(阿部寛が演じた)も谷川岳一の倉沢の難ルートを初登攀した設定になっています。
今年 数多の栄光と悲劇と伝説の谷川岳に登りませんか。
おすすめのコース
*下山は往路を戻る。
【コースの特長】
谷川岳冬の入門コースで、しっかりしたリーダーの下では、冬山初級者でも十分に登ることができます。
夏のルートは全部雪の下で、雪崩の危険性を避けるため尾根通しに頂上に向かいます。途中小ピークから西黒沢側を巻くように下降するところが雪の状態により滑落の危険があります。夏の天狗の留まり場付近から傾斜がきつくなるので滑落に注意です。通常日帰りで登りますが、熊穴沢避難小屋付近で雪洞泊として、雪上訓練・ラッセル訓練・雪崩捜索訓練と雪山登山の基本を磨くのにも良い尾根です。
冬も安全に登山を楽しみましょう!
先月はウエアリング・ピッケル・アイゼンについて体系的に述べました。いろいろと準備も進めていただいていると思います。今月はワンポイントアドバイス的に冬のハイキング・雪崩対策用具(アバランチギア)について述べたいと思います。
冬のハイキングを楽しむために
<アイゼン・ストックの準備>
当日、雪が降っていなくても日陰には氷化した雪が残っていることもあるので、アイゼン・ストックはつねに携行しましょう。
ハイキングでは6本爪の軽アイゼンやチェーンスパイク(アイゼン)携行時に嵩張らなくて使い勝手が良いでしょう。しかし、通常のアイゼンに比べ、それぞれに使用上の注意があります。6本爪アイゼンは多少の雪があってもスリップしにくいですが、急坂になるとつま先・かかと部分に爪がないので、一歩一歩ステップを刻むように登下降しなければ不意に滑ります。チェーンスパイク(アイゼン)は靴の全周に爪が配置され、凍てついた林道やかなり急傾斜の斜面でも安定して登下降できます。しかし、足首以上の積雪がある場合はアイゼンに雪が団子のようにつき、スリップしやすくなります。こまめに雪を落としてスリップしないように対処が必要です。ストックは夏用のリングでは使いづらいので積雪がある時は冬用のリングに付け替えましょう。
トレッキングポール・スノーバスケット
<サーモス・ヘッドランプ>
冬の低山でも普通の水筒では凍ってしまいます。雪の中ではなによりも暖かい飲み物が必携。体が温まりほっとします。近年は保温性も高く、陽だまりでコーヒータイム・ランチタイムにカップラーメンも作ることができます。冬のハイキングの危険は日没が早いことです。うっかり楽しみすぎることもあります。雪の山は体力も使います。あと少しで下山出来るところまで来たのに日没となれば、踏み跡がわかりにくい雪山ではヘッドランプなしには行動できません。必ず持参しましょう。
サーモス
ヘッドライト
雪崩対策装備
雪山は大変美しいですが、危険も潜んでいます。雪山の危険として、みなさんが認識されているのは吹雪・雪崩が代表的なところと思いますが、近年雪崩対策用具(雪崩ビーコン・プローブ・ショベル)が大変使いやすくなりました。雪山に向かう際は、携行するのが常識です。
雪崩ビーコン(アバランチトランシーバー)
雪崩に埋没した際に、機器から発信される電波を受信して埋没点を特定します。発信周波数は457kHzで世界共通です。発信は1本のアンテナ、受信は3本のアンテナで行う雪崩ビーコンが標準です。埋没した人までの距離をデジタル表示するだけでなく、自分が埋没したときにより早く探索されるように、発信アンテナの方向を自動的に切り替えるなど各社は工夫を凝らしています。機能的には各社ともに一定の水準に達していますから、自分の雪崩ビーコンの特性をよく理解して、捜索訓練をする事が重要です。
プローブ・ショベル
雪崩ビーコンだけでは埋没者を救出出来ません。プローブは雪の中に埋没している場所を特定するのに使います。長さは240センチ以上で、径が太くて、埋没深を確認しやすい目盛を刻んである物を選びます。引き伸ばすのにコツが必要ですから、公園などで訓練をしましょう。ショベルは素早く埋没した人を救出する重要な用具です。ショベルを有効に使えば、埋没深が1mでも10分程度で救出出来ますが、手で掘れば1時間以上かかるというデータがあります。軽量でも十分な強度のあるショベルを選びましょう。
「用意周到な準備で安全登山」
皆様がすばらしい登山をされる事を石井スポーツスタッフ一同願っております。