サロモン、アトミック、フィッシャーなどシェルを熱成型加工できるブランドが増えています。
シェルを温めて、履いて、冷やして……とその加工過程は、どこでも同じと思いがちですが、実は、そうではありません。
スキーのプロが集まる石井スポーツでは細かいところまで目の行き届いた熱成型加工を受けることができます。
ブーツの熱成型加工の様子
ここではカンダコンペカンで行なわれているブーツの熱成型加工の様子を見ていきます。
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1.カウンセリング&計測
レーシング、基礎、フリーライドなど、どういうスタイルのスキーをしているのか、どのぐらいの技術レベルなのかなど、ブーツを選ぶために必要な情報をヒアリング。その後、左右の足の長さ、幅を測定。足全体にボリュームがある、甲が高い、舟状骨が出ているなど、それぞれの足の特徴を診断。個別のカルテに書き込んでいきます。今回、撮影に協力してくれたモデルさんの足は、小指の付け根部分と外くるぶしのボリュームがあり、甲も高いという特徴です。 -
2.試し履き
それぞれのスキースタイル、技術レベル、好みに合うモデルを試し履き。実際に足入れをするとき、スタッフがインナーブーツの後ろ側を引き上げ、カカトが正確な位置に収まるような配慮も欠かせません。バックルを締めてスネ入れをするなど、一定時間ブーツを履いたうえで、どのモデルにするかを決定。そして、足のどの部分が当たるのかなどを確認していきます。 -
3.インソールの選択
ブーツが決まったら、インソールを選択。インソールブランドや履いたときのフィーリングの好みも当然踏まえますが、それぞれのスキースタイルや技術レベル、目標に合わせて、たとえば、ボリュームがある足の場合は薄めのインソールというように、選んだブーツの容量や足の特徴などを踏まえて、スタッフが最適な組み合わせになるものを提案します。 -
4.ブーツをオーブンへ
インナーブーツを抜いて、ブーツを専用オーブンでヒーティング。カンダコンペカンでは、温度の異なるふたつのオーブンを使い分けてブーツをヒーティングしていきます。 -
5.パッディング
素足になり、ブーツの膨らませたい部分にパッドを貼っていきます。硬さや形、厚さの異なるパッドのどれを選んで貼っていくかによって、ブーツがどれぐらい広がるかが決まるため、それぞれのスタッフが持つ経験が生きる部分。足長や足先の形、ブーツのボリュームによって、トゥキャップの厚さを選んだり、使わなかったりなどの細かい調整も行ないます。パッドが貼り終わったら、パッドが剥がれるのを防ぐためにストッキングを履き、その上からスキーソックスを履いてスタンバイOK。この作業を、ブーツをヒーティングしている間に行ないます。 -
6.ブーツの成型
温まったブーツにインナーブーツを入れ、足を入れてバックルを緩く締めてブーツを成型していきます。このときも足にビニール袋を履いてから足入れし、パッドがずれるのを防ぐと共に、足入れそのものをスムーズにできるようにしています。ブーツの成型にかかる時間は、各ブランドごとに所定の時間が決められていますが、どのぐらいブーツを膨らませたいかなどにより、その時間も微妙に調整しています。また、特定の部位をとくに膨らませたい場合は、ホットジェットで部分的に温め、そこを成型するということも行ないます。 -
7.クーリング~熱成型加工完了
ブーツを履いて数分経ったら、あらかじめ冷凍庫で冷やしておいたクーリングパッドを被せ、ブーツを冷やしていきます。このときも前傾姿勢を保つようにスタッフがサポート。数分間待つと、熱成型が完了です。 -
8.最終チェック&カント調整
熱成型が終わったら、足に貼っていたパッドを外し、ふたたびブーツに足入れ。加工前に圧迫感があった場所が、問題なく加工されているかを確認します。当たりなどがなかったら、最終工程のカント調整へ。石井スポーツオリジナルの計測器を使って、カントを正しく調整していきます。 -
Before After
左が熱成型前、右が熱成型後のブーツ。小指の外側の部分、ブーツのつま先から第2バックルにかけての部分が膨らんでいることがわかると思います。実際に履いた感覚は、見た目以上に大きなもの。「痛いところはまったくなくなりました」とモデルさんは話してくれました。
- カンダコンペカン
- 佐藤 孝幸
- ブーツフィッティングに悩みを持っている人は多いと思います。よりタイトに、より快適に──競技用ブーツから軽量快適ブーツまで、機能と共にジャストフィットするブーツをお届けするお手伝いをさせていただきます。ご遠慮なくブーツの悩みをお伝えください。
ご利用は石井スポーツスキー取扱い店へ
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